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北朝鮮に人権の光を!
―日本人から韓国人への手紙ー
大韓民国の国民のみなさん。
いま、韓半島と東アジアの平和と繁栄が脅かされています。
5月25日、国際社会の非難のなか北朝鮮はついに2回目の核実験を強行しました。4月5日には「人工衛星」打ち上げを口実に長距離ミサイルを発射し、今後も核実験とミサイル発射を行なうと公言しています。韓国と日本を射程におさめるミサイルは多数がすでに実戦配備され、戦争の脅迫と危険な挑発が繰り返されています。
私たちは、北朝鮮によって日本から拉致された人々を一日も早く救出することを目指す民間のグループです。韓国のみなさんとともにこの危険な現状を変えたいと願い、この手紙を書くことにしました。
私たちは、平和で繁栄する東アジアの実現と拉致問題の解決とを一緒に進めたいと思っています。
今年3月、釜山で、日本人拉致被害者、田口八重子さんの兄である飯塚繁雄さん、八重子さんの息子である耕一郎さんが、87年の大韓航空機爆破テロ事件の実行犯、金賢姫元工作員とはじめて面会することができました。面会実現にあたって示された韓国政府と国民のご理解に対し、私たちは深く感謝するものです。
金賢姫元工作員は爆破テロ事件のさい、偽造の日本旅券を持ち日本人を装っていましたが、彼女に日本の言葉や習慣などを教えたのが八重子さんでした。78年、八重子さんは、まだ赤ちゃんだった耕一郎さんを残し、工作船で北朝鮮に運ばれました。そして、多数の韓国人を犠牲にするテロにかかわることを強いられたのです。強制的に身体を拘束し、愛する人びとと切り離し、悪への加担を強いる―拉致は、最も悲惨な人権の侵害です。
北朝鮮による拉致の被害が最も大きいのは、言うまでもなく韓国です。韓国政府は朝鮮戦争のあとに北朝鮮に拉致された被害者を約500人としています。朝鮮戦争の捕虜多数もいまなお韓国に戻れず、炭鉱などでつらい仕事につかされているといいます。
被害者の中には、78年に仙遊島の海岸から失踪した高校生の金英男さんがいました。彼の運命が明らかになったのはつい3年前のこと。77年に13歳で拉致された日本人少女、横田めぐみさんと北朝鮮で結婚し娘も生まれていたのです。金英男さんや横田めぐみさんは、貴重な青春と人生をだいなしにされ、八重子さんと同じく、心ならずも北朝鮮の対南工作に携わることを強いられたのです。
2002年に日本の小泉首相が北朝鮮を訪問したとき、それまでしらを切っていた北朝鮮当局がついに日本人拉致を認めました。しかし、これは解決への道のりのほんの一歩にすぎません。金正日国防委員長は13人の日本人拉致を認め、そのうち5人だけが四半世紀ぶりに帰国することができました。北朝鮮は八重子さんやめぐみさんをふくめ全員が死亡したと日本側に伝えましたが、その死亡の「証拠」なるものはことごとく虚偽でした。また、各種調査から、日本人拉致被害者は十数名という人数にとどまらないことが確実になっています。
北朝鮮による拉致被害をこうむっているのは日本と韓国だけではないことも明らかになりました。日本に帰国した拉致被害者、曽我ひとみさんは、軍事境界線を越えて逃亡した米兵と北朝鮮で結婚していました。その米兵は、北朝鮮には彼を入れて4人の米兵がおり、レバノン人、タイ人、ルーマニア人の拉致被害者を配偶者にしたと証言しています。また韓国の映画女優、崔銀姫(チェ・ウニ)さんは、北朝鮮で、マカオから拉致された中国人女性、孔(コン)さんと会ったと証言しています。
北朝鮮による拉致被害は、国際的な広がりを持っています。どこの国籍を持つ者であれ、拉致被害者を一人残らず救出し、一日も早くそれぞれの故郷で待つ家族と再会させなくてはなりません。
韓半島の分断は離散家族の悲劇を生みましたが、この問題も日本と無縁ではありません。59年以降、「地上の楽園」という北朝鮮の宣伝に騙されて9万3千人の在日韓国・朝鮮人(在日コリアン)が北朝鮮へと移住しました。その中には6000人を越える日本国籍者もいました。彼らはその後、日本にいる親族と手紙の交換も自由にできず、別れ別れになったままです。資本主義の国から来たとして特別な監視を受けたばかりか、政治犯収容所に送られたものも数多くいます。
私たちは過酷な政治体制のもとで苦しむ北朝鮮の人々を助けたいと思っています。拉致と北朝鮮の民衆の奴隷化は、人権の否定という同じ根を持つ悲劇だからです。
90年代後半、人口2000万の北朝鮮で300万人が餓死したと推定されています。その一方で、北朝鮮の指導者はこの時期、核兵器とミサイルの開発に巨額の資金を投入していたのです。破産国家の北朝鮮で、これを可能にしたのは、民衆が声を上げることを許されない政治体制があるからです。衛星写真で確認された6か所の政治犯収容所には、20万人もの人々が、人間としての最低の扱いを受けることなく、いまなお死に直面しています。
民衆への自由の否定が戦争への危険を生んでいるのであれば、日増しに強まる北朝鮮の平和への脅威を根本から取り除くには、基本的人権の拡大こそが必要です。
私たちは民主主義、基本的人権を北朝鮮に行き渡らせることが、拉致被害者を救出するだけでなく、北朝鮮民衆の幸福と東アジアおよび世界への安全をもたらすと信じます。さらに、平和的で円滑な朝鮮半島の統一は、北朝鮮が民主化されてはじめて可能なのではないでしょうか。
大韓民国の国民のみなさん。
日韓両国民は手を取り合って、北朝鮮を真の民主主義の国に変える闘いに進んでいきましょう。そして、平和で繁栄する韓半島と東アジアを作っていこうではありませんか。私たちは提言します。
1)国連はじめ国際機関や国際会議において、北朝鮮の人権問題を訴えましょう。
2)人道援助を含む北朝鮮に関する個別プロジェクトを、人権の改善をはかることに結び付けましょう。
3)脱北者から、拉致を含む人権問題についての情報をより多く収集し、日韓で共有しましょう。
4)問題の緊急性にかんがみ、拉致被害者と政治犯収容所の実態を調査するための国際的な「人権査察」を求めましょう。
-意見広告7人の会
有田芳生(ジャーナリスト)
勝谷 誠彦(コラムニスト)
加藤 哲郎(一橋大学大学院教授)
重村 智計(早稲田大学教授)
高世 仁(ジャーナリスト)
日垣 隆(作家・ジャーナリスト)
湯川れい子(音楽評論家)
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